シラバス
科目名 コンピュータシステム
英語科目 ナンバリング GHinf103
開講期 春/秋 開講学部等 共通教育科目 配当年次 1年次 単位数 2単位
教員名 青木 淳
 ※履修条件,配当年次等の詳細は履修要項をご確認ください。
授業概要/Course outline  
 この授業ではコンピュータ理工学部の教員が他学部の学生を対象にコンピュータシステムについて解題する。
 地球シミュレータのように何百台のコンピュータがつながって気候変動や地殻変動を計算する大規模なコンピュータシステムがある。そして、クラウドと称されるインターネットをベースとしたコンピュータ資源を融通して利用しながら動作するコンピュータシステムもある。また、パソコンと呼ばれるパーソナルなコンピュータシステムのように、ハードウェア・ソフトウェア・データなどを自分自身で保有し管理する利用形態も存在する。さらに、スマートフォンにようにタッチパネルを主たるユーザーインターフェースとする多機能携帯電話のコンピュータシステムも広範に普及している。
 このように一概にコンピュータシステムと言っても多種多様であるが、それらの根底にはほぼ共通した構造・機能・発生があり、まずそれらを学ぶことから始めてゆく。
 その後、コンピュータシステムと広範な学域との関わり合いへと歩を進め、科学哲学・認知科学・心理学・生化学・脳科学・経営学・経済学・法学との関連など、情報やコンピュータが他の学域と関連するところを解説してゆく。
 コンピュータや情報関連技術(IT)に興味がある各学部の学生が勉強しておきべきコンピュータの基本をやさしく説明するので、コンピュータシステムに関するまとまった知識と技術が得られ、現代の情報化社会の全貌を見通す眼力が養える。
 科学(サイエンス)と技術(テクノロジ)をベースにしながらも、その枠を超えて実社会や人文科学との関係性に力点を置く。コンピュータシステムが私たちに及ぼしている影響を論じながら、情報処理教室に配備されたコンピュータシステムを利用したハンズオン(体験学習)形式でのプログラミングも行う。
授業内容・授業計画/Course description・plan  
 この授業では「まず、やってみる、それから、学ぶ」をライトモチーフにしながら進めてゆく。毎回の授業の終わりに必ず「今日のレポート」を課す。今日のレポートであるから、授業日の23:59:59までに、指定された形式と方法でレポートを提出することを介して、学んだことや習ったことを確固たるものにする。
[第01回]
テーマ:開講にあたって
テーマ:高度情報化社会
 授業を始めるにあたって、授業目的・授業内容・評価方法・教材などを説明した後、高度情報化社会と題して、どこもかしこもコンピュータ…これからどうなる…という観点で、情報が石油などの諸資源と同等の価値を有するようになり、企業活動はもちろんのこと、通常の日常生活、国および地方自治体の行政活動などが、情報に大きく依存し、情報を中心として機能している現代社会を概観する。
[第02回]
テーマ:ふたりのアラン
テーマ:コンピュータシステムのデモンストレーション
 現代のコンピュータの礎(いしずえ)を築いたアラン・チューリング(コンピュータの父)、そして、パソコンやスマートフォンの基底となるダイナブックを発想したアラン・ケイ(パーソナルコンピュータの父)、ふたりのアランを紹介し、コンピュータを数学的に議論するための単純化し理想化された仮想機械であるチューリングマシンを解題する。そして、アラン・ケイが1970年代に思い描いたダイナブック構想を説明する。ふたりのアランの功績が結実したものとしてのオブジェクト指向プログラミングやユーザーインターフェースなどをデモンストレーションで伝える。
[第03回]
テーマ:コンピュータの誕生と発達
テーマ:マイクロプロセッサ
 コンピュータの誕生から発達してきた過程をジェネレーションで区切って解説し、情報処理の中核をなすコンピュータの心臓部(マイクロプロセッサ)がONとOFFだけで出来ていること、2進数が基本であることを解題する。その際に情報処理教室のコンピュータシステムを援用する。
[第04回]
テーマ:論理回路による四則演算の実現
 ONとOFFを組み合わせてゲートを呼ばれる論理回路を構成することで2進数が高速に正確に扱えること、そして、それがN進数になること、私たちが常用する10進数や12進数の仕組みを解説し、加減乗除などの四則演算が加算器と呼ばれる2進数の足し算で可能なことを、情報処理教室のコンピュータシステムを用いて示す。
[第05回]
テーマ:人工環境とコンピュータシステム
 私たちが作り出したアーティファクト(人工物)が私たちに及ぼす影響を、汎用機械や万能機械と言われるコンピュータシステムの側面から解説する。人類史から見た際のコンピュータシステムによる人工環境の位置づけについて説明する。
[第06回]
テーマ:パーソナルコンピュータシステム
小テスト:音を出すプログラム作成の試験(〆切:7日後)
 情報処理教室に配備されたコンピュータシステムはパーソナルコンピュータシステムと呼ばれるものであり、コンピュータの心臓部への命令を列(シーケンス)にしたプログラムというもので動いていることを実感する。プログラムを実際に書いてパソコンを動かしてみることにより、プログラミング(命令列を作成する行為)の大変さ、融通のきかなさ、面倒臭さ、などを味わってもらう。IT業界で働く情報処理技術者の仕事を垣間見て、今後のパーソナルコンピュータシステムがどうあらねばならないかを考える。
[第07回]
テーマ:科学哲学とコンピュータシステム
 カール・ポパーの三世界哲学(三つの世界)を解説し、ヒトが後世に残せるジーン(jene)と人が後世に伝えるミーム(meme)という観点からコンピュータシステムを解題する。また、唯幻論と仮想現実や共同幻想そして脳の中の幻影を説明し、コンピュータシステムがそれらに多大な影響を与えるようになった現代を切ってみる。心理学者の岸田秀、思想家の吉本隆明、神経科医のヴィラヤヌル・ラマチャンドラン、神経学者のオリバー・サックスの著作を援用する。
[第08回]
テーマ:認知科学とコンピュータシステム
 可視化(みえるようにする)・可聴化(きけるようにする)・可触化(さわれるようにする)のためのコンピュータシステムを紹介し、私たちの認知(脳科学)との関わり合いを説明する。視覚・聴覚・触覚の知覚がなぜ言語を構成するのか、臭覚や味覚の言語化が難しいのか、視・聴・触をコンピュータシステムで代替えするとはどういうことかを解題してゆく。
[第09回]
テーマ:何千・何万・何億・何兆・何京…大数に対処するコンピュータシステム
テーマ:ネットワークのネットワークとしてのコンピュータシステム
 ビックデータと呼ばれる大量な情報を格納して検索するデータベースの存在を教える。同時にそれらがネットワークのネットワークであるインターネットを介してつながったクラウドと呼ばれるコンピュータシステムを解説する。
[第10回]
テーマ:プロジェクトマネジメントとコンピュータシステム
 プロジェクトとは何であるのか、マネジメントとは何であるのか、それらをきちんとした後、プロジェクトをマネジメントする手法を解題する。おもにスコープ・タイムにおける管理手法を詳しく取り上げる。コンピュータシステムと経営学(組織体の運営)や経済学(社会の経済活動)そして法学(情報倫理やセキュリティそしてライセンスや知的財産権などの権利問題)との接点を説明する。
[第11回〜第12回]
テーマ:オブジェクト指向ソフトウェア開発
小テスト:オブジェクト指向プログラミング言語の試験(ペーパーテスト)
 パーソナルコンピュータの父であるアラン・ケイがデザインして作り上げたプログラミング言語を解説する。あれをやって、それをやって、これを返す、というような手続き的なプログラミング言語が発展し、現代では、Aさんこれをお願い、その間にBさんはこれをやっておいて、Cさん今の状況を知らせて、というようなメッセージの交信を用いてプログラムを創作するオブジェクト指向プログラミング言語を紹介する。
[第13回]
テーマ:マルチメディアシステム
 いくつかの画像を次々とめくることにより、動画(パラパラまんが)を作成する。オブジェクト指向プログラミングを実践しながら、めくる速度が認知に大きな影響を与えている事実を実感する。また、右ライトが点灯し左ライトが消灯ている画像、左ライトが点灯し右ライトが消灯している画像、これら2枚をパラパラとめくるスピートを変化させると、その状態を表す言葉が変わることも学ぶ。
[第14回]
テーマ:三次元グラフィックスシステム
 ジョルジュ・スーラの「グランド・ジャット島の日曜日の午後」が点描であることから導入し、三次元グラフィックスを用いて、空間に点描・線描・面描を行い、オブジェクト指向プログラミングを実践する。二次元平面であるディスプレイの上に、なぜ奥行きのある三次元が演出されるのかを学ぶ。
[第15回]
テーマ:閉講にあたって
小テスト:オブジェクト指向プログラミングの試験(〆切:授業日23:59:59)
 この学期を通して学んだことを振り返る。そして、仕上げとして習い覚えたオブジェクト指向プログラミングの小テストを行う。
準備学習等(事前・事後学習)/Preparation and assignments  
[第01回]〜[第15回]毎回の授業テーマに共通する予習と復習について
[事前学習]配付資料を教員ページまたはmoodleページからダウンロードし、事前に関係するところを調べて授業に臨むこと。
[事後学習]授業で学んだ知識を整理し、さらに理解を深めるため、授業中に指示されるレポートや課題に果敢に取り組むこと。
 授業内容が広範(各論から総論)に及ぶため、進度も速く、難度も高い、まさにスペクタクルである。そのため、予習と復習をしなければ、授業に追随することが難しくなる。また、数々の小テストには複数の配付資料が関連する。したがって、配付資料の整頓も大切である。
授業の到達目標/Expected outcome  
 広範な学域に影響しているコンピュータシステムを少しでも垣間見て、現代の情報化社会の起源と現状を理解し、その将来を考えられるようになること。実社会や人文科学とコンピュータシステムがどのように関係しているのか、してきたのか、してゆくのか、情報化社会のビジョンを得ること。
身に付く力/Special abilities to be attained  
 実社会における情報化に対する評価力や批判力など。論理的思考力(課題発見力、論理的分析力、総合的判断力)、実践力(働きかけ力、実行力、主体性)、そして、実社会とコンピュータシステムの係わりに関する知識と技術を身につけることができる。
履修上の注意/Special notes, cautions  
 コンピュータに対するリテラシー(キーボードタイピングやメール送受信などの基礎的な活用能力)を既得していること。情報処理教室に具備されたコンピュータを、授業が始まる前までに稼働状態にしておくこと。
評価方法/Evaluation  
 定期試験は行わない。授業が手解き(ハンズオン:体験学習)を含む関係上、出席は大変に重要である。毎回のように授業中にレポートやプログラムの提出を課す。これらを平常点(50%)とする。また小テストを複数回行う。それらの出来具合(50%)を加味し、総合的に評価する。
教 材/Text and materials  
 教科書:配付資料
 参考書:増永良文『コンピュータサイエンス入門−コンピュータ・ウェブ・社会−』(サイエンス社,2008)
 参考書:青木淳、浅岡浩子、澤本依里『Smalltalkで学ぶオブジェクト指向プログラミングの本質』(日経BP社,2008)
 参照URL:http://www.cc.kyoto-su.ac.jp/~atsushi/
その他/Others  
 研究室:第2実験室棟3階73研究室
 オフィスアワー:木曜日2限(10:45-12:15)
 連絡先:配付資料の表紙に記載されているメールアドレス
 授業に関する質問やホウレンソウ(報告・連絡・相談)がある場合には、オフィスアワーの時間に研究室へ訪問するか、メールで問い合わせること。
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