シラバス検索システム
シラバス
科目名
コンピュータシステム
英語科目
ナンバリング
開講期
秋
開講学部等
共通教育科目
配当年次
1年次
単位数
2単位
教員名
青木 淳
※履修条件,配当年次等の詳細は履修要項をご確認ください。
授業概要/Course outline
この授業ではコンピュータ理工学部の教員が他学部の学生を対象にコンピュータシステムについて解題する。
地球シミュレータのように何百台のコンピュータがつながって気候変動や地殻変動を計算する大規模なコンピュータシステムがある。そして、クラウドと称されるインターネットをベースとしたコンピュータ資源を融通して利用しながら動作するコンピュータシステムもある。また、パソコンと呼ばれるパーソナルなコンピュータシステムのように、ハードウェア・ソフトウェア・データなどを自分自身で保有し管理する利用形態も存在する。さらに、スマートフォンにようにタッチパネルを主たるユーザーインターフェースとする多機能携帯電話のコンピュータシステムも広範に普及している。
このように一概にコンピュータシステムと言っても多種多様であるが、それらの根底にはほぼ共通した構造・機能・発生があり、まずそれらを学ぶことから始めてゆく。
その後、コンピュータシステムと広範な学域との関わり合いへと歩を進め、科学哲学・認知科学・心理学・生化学・脳科学・経営学・経済学・法学との関連など、情報やコンピュータが他の学域と関連するところを解説してゆく。
コンピュータや情報関連技術(IT)に興味がある各学部の学生が勉強しておきべきコンピュータの基本をやさしく説明するので、コンピュータシステムに関するまとまった知識と技術が得られ、現代の情報化社会の全貌を見通す眼力が養える。
科学(サイエンス)と技術(テクノロジ)をベースにしながらも、その枠を超えて実社会や人文科学との関係性に力点を置く。コンピュータシステムが私たちに及ぼしている影響を論じながら、情報処理教室に配備されたコンピュータシステムを利用したハンズオン(体験学習)形式でのプログラミングも行う。
授業内容・授業計画/Course description・plan
この授業では「まず、やってみる、それから、学ぶ」をライトモチーフにしながら、以下のようなテーマに沿って進めてゆく。ただし授業の進行状況に応じて変更することがある。
[第01回]
テーマ:開講にあたって
テーマ:高度情報化社会
授業を始めるにあたって、授業目的・授業内容・評価方法・教材などを説明した後、高度情報化社会と題して、どこもかしこもコンピュータ…これからどうなる…という観点で、情報が石油などの諸資源と同等の価値を有するようになり、企業活動はもちろんのこと、通常の日常生活、国および地方自治体の行政活動などが、情報に大きく依存し、情報を中心として機能している現代社会を概観する。
[第02回]
テーマ:ふたりのアラン
テーマ:コンピュータシステムのデモンストレーション
現代のコンピュータの礎(いしずえ)を築いたアラン・チューリング(コンピュータの父)、そして、パソコンやスマートフォンの基底となるダイナブックを発想したアラン・ケイ(パーソナルコンピュータの父)、ふたりのアランを紹介し、コンピュータを数学的に議論するための単純化し理想化された仮想機械であるチューリングマシンを解題する。そして、アラン・ケイが1970年代に思い描いたダイナブック構想を説明する。ふたりのアランの功績が結実したものとしてのオブジェクト指向プログラミングやユーザーインターフェースなどをデモンストレーションで伝える。
[第03回]
テーマ:コンピュータの誕生と発達
テーマ:コンピュータの基礎知識
コンピュータの誕生から発達してきた過程をジェネレーションで区切って解説し、情報処理の中核をなすコンピュータの心臓部(マイクロプロセッサ)がONとOFFだけで出来ていること、2進数が基本であることへと導く。その際に情報処理教室のコンピュータシステムを援用する。
[第04回]
テーマ:N進数
テーマ:論理回路を作るためのスイッチング素子
テーマ:論理回路をスイッチングで実現
スイッチングと呼ばれるONとOFFを制御する仕組み、そして、それらを組み合わせてゲートと呼ばれる論理回路を構成することで2進数が高速に正確に扱えること、そして、それがN進数になること、私たちが常用する10進数や12進数の仕組みを解説する。その際に情報処理教室のコンピュータシステムを援用する。
[第05回]
テーマ:論理回路による記憶回路の実現
テーマ:論理回路による四則演算の実現
テーマ:情報処理で使う単位と接頭辞
ゲートを呼ばれる論理回路から、メモリと呼ばれる記憶回路が作れること、そして、その仕組みを解説し、加減乗除などの四則演算が加算器と呼ばれる2進数の足し算で可能なことを示す。その際に情報処理教室のコンピュータシステムを援用する。さらに、情報処理で使う単位と接頭辞についても概観する。
[第06回]
テーマ:人工環境とコンピュータシステム
テーマ:プログラミング
私たちが作り出したアーティファクト(人工物)が私たちに及ぼす影響を、汎用機械や万能機械と言われるコンピュータシステムの側面から解説する。人類史から見た際のコンピュータシステムによる人工環境の位置づけについて説明する。また、ソートを題材にして、アルゴリズムの存在とそれを具現化したプログラムを示し、簡単なプログラミングへと誘う。
[第07回]
テーマ:パーソナルコンピュータシステム
テーマ:タートル・グラフィクス・プログラム作成
テーマ:WYSIWYG
情報処理教室に配備されたコンピュータシステムはパーソナルコンピュータシステムと呼ばれるものであり、コンピュータの心臓部への命令を列(シーケンス)にしたプログラムというもので動いていることを実感する。プログラムを実際に書いてパソコンを動かしてみることにより、プログラミング(命令列を作成する行為)の大変さ、融通のきかなさ、面倒臭さ、などを味わってもらう。IT業界で働く情報処理技術者の仕事を垣間見て、今後のパーソナルコンピュータシステムがどうあらねばならないかを考える。また、WYSIWYGというコンピュータのユーザインタフェースに関する用語も説明する。
[第08回]
テーマ:科学哲学とコンピュータシステム
テーマ:ソフトウェアの種類とOSの機能・構造・発生
テーマ:情報システム
カール・ポパーの三世界哲学(三つの世界)を解説し、ヒトが後世に残せるジーン(jene)と人が後世に伝えるミーム(meme)という観点からコンピュータシステムを解題する。また、唯幻論と仮想現実や共同幻想そして脳の中の幻影を説明し、コンピュータシステムがそれらに多大な影響を与えるようになった現代を切ってみる。心理学者の岸田秀、思想家の吉本隆明、神経科医のヴィラヤヌル・ラマチャンドラン、神経学者のオリバー・サックスの著作を援用する。さらに、現代のソフトウェアの種類、OSの役割、ミドルウェアの位置付けなどを説明し、情報システムを概観する。私たちが情報システム無しには暮らせないこと実感してもらう。
[第09回]
テーマ:認知科学とコンピュータシステム
テーマ:ファイルシステムとデータ量
可視化(みえるようにする)・可聴化(きけるようにする)・可触化(さわれるようにする)のためのコンピュータシステムを紹介し、私たちの認知(脳科学)との関わり合いを説明する。視覚・聴覚・触覚の知覚がなぜ言語を構成するのか、臭覚や味覚の言語化が難しいのか、視・聴・触をコンピュータシステムで代替えするとはどういうことかを解題してゆく。また、コンピュータシステムに備わっているファイルシステムが、どのように認知され、利用でき、格納されるファイルの種類とデータ量についても論じる。
[第10回]
テーマ:何千・何万・何億・何兆・何京…大数に対処するコンピュータシステム
テーマ:ネットワークのネットワークとしてのコンピュータシステム
ビックデータと呼ばれる大量な情報を格納して検索するデータベースの存在を教える。同時にそれらがネットワークのネットワークであるインターネットを介してつながったクラウドと呼ばれるコンピュータシステムになっていることを解説する。リレーショナルデータベースの集合演算や関係演算そして標準的な問い合わせ言語の紹介を行う。また、MACアドレス、IPアドレス、ドメイン、インターネットプロトコルなどをOSI基本参照モデルを援用して紹介する。
[第11回]
テーマ:情報倫理とセキュリティそしてウェブと社会
産業財産権や著作権などの知的財産権とその関連法規から導入し、正しい引用の仕方を指南する。そして、安全性におけるセーフティとセキュリティの相異を明らかにしながら、盗聴・なりすまし・改ざんなどのリスクの存在を確と把握してもらい、それらのリスクを回避するための暗号化と復号化(共通鍵暗号方式と公開鍵暗号方式)を解説する。さらに、情報倫理とセキュリティの上に構築されたウェブと社会について、集合知やウェブサイエンスなどをベースにして新しい社会科学として論じる。
[第12回]
テーマ:コンピュータシステムの設計と開発
テーマ:プロジェクトマネジメント
コンピュータシステムがどのように設計されて開発されているのかを解説する。まず開発工程を表す三つのモデルを紹介することから始めて、それぞれの開発工程を概観し、コンピュータシステムの設計と開発がプロジェクトとして行われていることを把握してもらう。そして、プロジェクトとは何であるのか、マネジメントとは何であるのか、それらをきちんとした後、プロジェクトをマネジメントする手法を解題する。おもにスコープ・タイムにおける管理手法を詳しく取り上げる。
[第13回]
テーマ:コンピュータシステムの運用と管理
テーマ:Smallltalkの文法と書法そしてプログラミング
さらに、パーソナルコンピュータの父であるアラン・ケイがデザインして作り上げたプログラミング言語Smalltalkの文法と書法を解説する。あれをやって、それをやって、これを返す、というような手続き的なプログラミング言語が発展し、現代では、Aさんこれをお願い、その間にBさんはこれをやっておいて、Cさん今の状況を知らせて、というようなメッセージの交信を用いてプログラムを創作するオブジェクト指向プログラミング言語を紹介する。
[第14回]
テーマ:オブジェクト指向プログラミングの実際
イヤホンを持参してもらい、音を出すプログラムを作成する。その作成過程からオブジェクト指向プログラミングの実際へと誘う。さらに、いくつかの画像を次々とめくることにより、動画(パラパラまんが)を作成する。オブジェクト指向プログラミングを実践しながら、めくる速度が認知に大きな影響を与えている事実を実感する。また、右ライトが点灯し左ライトが消灯ている画像、左ライトが点灯し右ライトが消灯している画像、これら2枚をパラパラとめくるスピートを変化させると、その状態を表す言葉(脳の中の幽霊)が変わることも学ぶ。
[第15回]
テーマ:閉講にあたって
この授業を通して学んだことを振り返る。
準備学習等(事前・事後学習)/Preparation and assignments
[第01回]〜[第15回]毎回の授業テーマに共通する予習と復習について
[事前学習]配付資料を教員ページまたはmoodleページからダウンロードし、それを良く読み、事前に関係するところを調べて、疑問点を明らかにして授業に臨むこと。
[事後学習]授業で学んだ知識内容と配布資料にメモした事柄を整理し、ノートに書き写して復習すること。
授業内容が広範(各論から総論)に及ぶため、進度も速く、難度も高い、まさにスペクタクルである。そのため、予習と復習をしなければ、授業に追随することが難しくなる。配付資料と自作ノートを用いて、常に授業内容を整理整頓しながら確と把握し、平素から定期試験に備えておくことが大切である。
授業の到達目標/Expected outcome
広範な学域に影響しているコンピュータシステムを少しでも垣間見て、現代の情報化社会の起源と現状を理解し、その将来を考えられるようになること。実社会や人文科学とコンピュータシステムがどのように関係しているのか、してきたのか、してゆくのか、情報化社会のビジョンを得ること。
身に付く力/Special abilities to be attained
実社会における情報化に対する評価力や批判力など。論理的思考力(課題発見力、論理的分析力、総合的判断力)、実践力(働きかけ力、実行力、主体性)、そして、実社会とコンピュータシステムの係わりに関する知識と技術を身につけることができる。
履修上の注意/Special notes, cautions
コンピュータに対するリテラシー(キーボードタイピングやメール送受信などの基礎的な活用能力)を既得していること。情報処理教室に具備されたコンピュータを、授業が始まる前までに稼働状態にしておくこと。
評価方法/Evaluation
定期試験を100点満点とし、欠席・遅刻・授業中の私語・宿題の未提出などに応じたペナルティ点(最大100点)を、定期試験の点数から減じて評価する。
その他/Others
研究室:第2実験室棟3階65研究室
オフィスアワー:木曜日3限(13:15-14:45)
連絡先:配付資料の表紙に記載されているメールアドレス
授業に関する質問やホウレンソウ(報告・連絡・相談)がある場合には、オフィスアワーの時間に研究室へ訪問するか、メールで問い合わせること。
Copyright (C) 2015 Kyoto Sangyo University. All rights reserved.